連雀クリニック

痔疾患の種類と治療

痔疾患の種類と治療 ●痔疾の種類 痔疾患のうち半数を占める痔核(いぼ痔)は特に男女差はなく、裂肛(きれ痔)と痔瘻は、それぞれ12~15%程度で、裂肛は女性に、痔瘻は男性に多くみられます。 これは日常の排便状態に起因していると思われます。 1.痔核(いぼ痔) ・種類と発生原因
痔核は便秘などによるいきみや腹圧による肛門部への過度の刺激、長時間の座りっぱなしや立ちっぱなしの姿勢が続くことによる肛門部のうっ血で発生します。 その出来る場所によりに内痔核と外痔核に分けられます。
・原因と症状
排便時のいきみの繰り返しなどによって、肛門部のうっ血が生じ、直腸と肛門との境界部(動脈や静脈の集まる所)で、いぼ状にふくらんだものを内痔核といい、痔核全体の約8割を占めています。 症状としては、最初のうちは排便時の出血のみで痛みは起こりませんが、病状の進行によって排便時にいぼが肛門外に脱出、炎症などによる痛みを生じるようになります。
・内痔核の病状の進行程度
第1度: 痔核が肛門内でふくらんでいるだけで、排便時に肛門外に出ない。
第2度: 痔核が排便時に肛門外に出てくるようになるが、自然に肛門内に戻る。
第3度: 排便時に肛門外に出た痔核が自然に戻らず、指などで押し込む。
第4度: 痔核が常に肛門外に出たままで、指で押し込んでも戻らない。
・外痔核の原因と症状
外痔核は、排便時のいきみ、ゴルフのスウィング時のいきみなどで生じる肛門皮下の静脈のうっ血による血栓(血のかたまり)で、強い痛みを伴います。 硬いしこりとして触れることができます。
2.裂肛(きれ痔)
裂肛「きれ痔」は便秘で硬い便を無理に出したために肛門の上皮が裂け、起こる痔です。 症状としては、排便時に紙につく程度の出血と肛門の痛みがあります。 きれ痔が慢性化すると傷口が深い潰瘍状になり、排便後も強い痛みが続いて起こり、座るときも痛くなります。
・裂肛の慢性化
裂肛になると排便時の激痛のために、排便を抑えるようになり、便秘となります。 便秘による硬い便をいきんで出すことで、再び同じ場所が切れてしまいます。 この繰り返しにより裂肛が慢性化し、潰瘍状になると、肛門狭窄で排便障害を引き起こし、再び便秘になります。 この悪循環で、強い下剤を飲まないと排便できなくなってしまいます。
3.痔瘻
痔瘻は、直腸肛門の境界部(歯状線)にある肛門小窩に大便中の細菌(主に大腸菌)が入り、括約筋間の肛門腺で炎症を引き起こしながら、肛門周囲に拡がり、化膿性の炎症を発生させます。 症状は肛門のまわりが腫れて激痛を生じ、高熱(38~39度)を伴うこともあります。 肛門周囲潰瘍が進み、自潰するか、あるいは切開排膿させると、症状は楽になります。 膿が出た後に、肛門外縁に向かって硬い管(しこり状)が残り痔瘻となります。 肛門外に向かわず、直腸内腔へ進む場合もあり、炎症の進み具合により、直腸狭窄を合併することもあります。 症状としては、常に膿の混じった分泌物が出たり、肛門のまわりに湿疹様皮膚炎ができ、かゆみや不快感を感じたりします。 痔瘻は薬では治らないので、原発口と原発巣(ばい菌の入り口)をとらない限り炎症を繰り返し、もっと複雑性の痔瘻となる可能性も高いのです。
●痔疾の療法
肛門は大切な生理機能を持った器官です。 生理機能を阻害するような治療法を避け、痔疾とその症状にあった療法を行うことが必要です。
1.保存療法
痔の治療基本は、便秘・下痢に注意したり、入浴で患部を清潔にすることにより肛門への負担を軽減することです。 出血・痛みなどを緩和する軟膏・坐薬などの外用薬と血液循環の改善を目的とする内服薬療法。最近では、第3度内痔核(指で戻せる脱出状態)の場合は、無痛性硬化療法(注射療法)が有効で、切除と違い、生活上支障をきたさない療法もあります。
2.手術療法
基本的に日帰り手術を行い、麻酔は肛門周囲に効く、仙骨硬膜外麻酔で充分に行えます。 術後はしばらく休んでから、歩行帰宅できます。 毎日、排便ができ、お風呂も入れます。 手術適応する疾患は、脱肛(第4度内痔核)・痔瘻・肛門狭窄を伴う慢性裂肛。 直腸脱は硬化療法(注射療法)で充分に根治できるようになりました。 痔瘻は肛門機能を温存する括約筋温存手術で根治させます。

連雀肛門科消化器内科クリニック
院長 黄田 正徳

院長  医学博士 黄田 正徳
昭和53年 帝京大学医学部卒
昭和54年2月 東京医科大学病院外科学教室勤務
昭和57年11月 社会保険中央総合病院
大腸肛門病センター勤務
平成5年2月 大成会長汐病院
外科・肛門科勤務
平成11年8月 当院開業